外国為替レートと鉱工業生産

為替レート予測のファンダメンタルズ要因の中で,ドル/円相場の動向と当てはまりが良いと 思われるのが日米の生産力格差です.生産力という場合,第一に考えるのがGDP(国内総 生産)ですが,為替先物取引予測にはやや不向きです.これは多くの国でGDPの計数をまとめる サイクルが四半期であり,データの鮮度が低いためです.これは日本と米国を見ても例外ではありません.このため,生産力を反映する月次データである鉱工業生産を利用することが多いのです.ただし,鉱工業生産の統計はどの国でも月によって変動が大きく,そのままでは比較には不適当です.そこでいろいろ試行錯誤すると,毎月の鉱工 業生産の前年比伸び率について日米の差を求め(米-日),3ヵ月移動平均したものを対比するという方法が,ドル/円の為替レートとの関係を見る上で比較的良いアフィリエイト方法です.為替レート決定理論には、「購買力平価説」、「国際収支説」、「アセット・アプローチ」の他に、「為替心理説」というものもあります。これは前二者と同様古典派理論の一つで、フランスのA・アフタリオンが、1927年に唱えた説です。脱毛は人々の思惑や期待・不安などの心理的要素によって変動すると考え、政変や戦争などの突発的なニュースで相場が大きく変動する現象を説明します。最近は市場の注目がイラク攻撃をめぐる脱毛に集中し、経済指標が市場に及ぼす影響は非常に限られています。これを見ても、為替心理説を否定することはできません。しかし、短期的な動きをある程度説明できても、長期的な予測に適用するには無理があります。決定理論はここまでにして、実際に市場参加者が為替レートを予測する場合のアプローチに移ります。重要な要因として一般にあげられるのは、@ファンダメンタルズ、A需給、B政策、Cテクニカル要因 などですが、他にも数限りなくあります。例えば太陽の黒点と為替の関係に注目する人もいますし、 占星術による為替相場予測というものもあります。ファンダメンタルズ要因の一つとして、ドル/円相場の動向と当てはまりが良いと思われるのが、日米の生産力格差です。生産力という場合、第一に考えるのがGDP(国内総生産)ですが、為替予測にはやや不向きです。これは多くの国でGDPの計数をまとめるサイクルが四半期であり、データの鮮度が低いためです。日米も例外ではありません。このため、月次データである鉱工業生産を利用します。下のグラフは、毎月の鉱工業生産の前年比伸び率について日米の差を求め(米-日)、3ヵ月移動平均したもの(青・左軸)と、ドル/円レート月中平均値(赤・右軸)の動きを対比しました。これは昨年12月までのグラフですが、両者のトレンドにはかなり関連があることがわかります。前年比伸び率の格差が拡大(米国の伸びが高い)すれば円安、縮小(日本の伸びが高い)すれば円高という傾向ですが、現在は縮小を通り越して逆転しています。鉱工業生産は、経済統計の中でも月ごとのぶれが大きいものの一つです。しかしこのように移動平均でその欠点をカバーすると、為替との関係も見えてきます。 日本の伸び率が上回るというのは、過去10年間でも珍しい状態です。2000年にこうした状況だった時のドル/円レートは100円台でした。もちろん、為替レートに影響を与えるのは鉱工業生産だけではなく、水準自体をこれから判断することはできません。しかし少なくとも日米間では、生産力の傾向が為替レートの方向性に重要な意味を持つことを、このグラフは表しています。 現在は日米とも景気は思わしくありませんが、日本の鉱工業生産に重要な影響を与える輸出は増加しています。このため、日本の前年比伸び率は3ヵ月連続5%台、米国はようやく2%台と、日本に有利な状況が続いています。 しかし,17日に発表された11月の鉱工業生産指数は、前月比で3ヵ月連続の低下を記録しました。最近の政府の景気判断には、明るい見通しは見られません。鉱工業生産指数が 2001年末に底打ちし、昨年上昇を続けたことを考えると、前年比で見た伸び率は、今後鈍化する可能性が高いでしょう。一方米国は、伸び率の水準自体は低いものの、趨勢としては底打ちが確認されています。 従って、このグラフで見る限り、ドル/円の下落余地はそう大きくないことになります。ただし、今はイラク情勢がより大きな影響力を持っており、ここで行ったような判断が後回しにされやすいというのが、市場の実態であることは事実です。