外国為替の購買力平価

為替レートは自国通貨と外国通貨の購買力の比率によって決定される,という理論が「購買力平価」説 です.財やサービスの取引を自由に行えるという前提があれば,同じ先物取引商品の価格は一つに決まり(一物一価の法則),国内市場と海外市場の間でも同じことが成り立ちます.この時日本よりも米国の物価が低ければ,日本から米国製品を買うために円を売ってドルを買 う動きが増加します.このためドル/円レートはドル高円安に動いて均衡点に達するという考え方です.購買力平価は、基準時点の為替レート×自国インフレ率÷相手国インフレ率によって求めます.基準時点としては1973年を使うことが多く,日米ともに経常収支が 均衡していた時期という理由によるものです.インフレ率には消費者物価と輸出物価がよく使われ ます.ドル/円レートは,消費者物価ベースの購買力平価をドルの上限,輸出物価ベースの購買力平価をドルの下限とするバンド の中で,概ね変動してきています.これを見ても,購買力平価は長期的な南アフリカランド為替レートの趨勢を説明する上では意味があります.これらとは別に、プラザ合意以降は日米工業製品卸売物価ベースがドルの上限とする調査もあります。例えばこれに基づいて2002年7月時点で「125円を超える円安には限界がある」という報告がありましたが、結果的にかなり正確な指標でした。また2002年末に当時の塩川財務相が「購買力平価からみて150〜160円が妥当」と発言した時は、OECDによる消費者物価ベースの2001年平均(150円)を念頭に置いていたと思われますが、輸出物価ベースでは今年第1四半期で90円前後とかなり開きがあります。実勢レートがどちらに近づくかは、日米の国際競争力によるところが大きいと考えられます。その意味で、以前と違い日本の国際競争力が低下している現在は、輸出物価よりもデフレをより反映した消費者物価に近づく傾向があってもおかしくありません。その時,塩川発言に対し速水日銀総裁(当時)は「購買力平価で為替レートが決まるのなら、そもそも変動相場制には移行していない」と反論し、円安に動きかけた市場に軽いブレーキをかける結果になりました。1つ付け加えておくと、購買力平価説は固定相場制を背景とした理論です。為替レート決定理論には、変動相場制の出現前後で違った流れがありますが、どちらがスカウトに優れているということはできません。固定相場制を背景とするもう一つの理論である国際収支説については、回を改めてお話しします。テレビのニュースの字幕に,1ドル=117.50〜117.60 と表示され,「ロンドン市場の円は,1ドル117円50銭から60銭の間で取引されています」という言い方をすることがありますが,これは正確な表現ではありません.彼らはロイターなどの 情報画面で,117.50-60(50〜60ではない)という表示を見てこのように伝えますが,この表示の意味は範囲ではなく,ドルのビッド(買い手レート)とオファー(売り手レート)です.最近はマージンFXが普及してきたので以前よりは理解されていると思います.一時あるテレビ局は「117円50銭、60銭」というように読んでいました.ようやく意味の違いに気付いたのかなと思いましたが,聞いていてわかりにくいという意見でも出たのか,間もなく元に戻ってしまいました.ビッド/オファーだけならば式の取引所での呼び値と変わりませんが、通常の銀行間取引では「ツー・ウェイ・クォート(Two-way quote)」と言って、上記のように売買両サイドを出し合います。これが為替市場のユニークなところです。つまり「売りたい」「買いたい」と言ってレートを求めるのではなく、ある銀行が「ドル/円は?」と聞くと、聞かれた側は相手の意図を予想しながら売り買い両方のレートを出します。銀行間ではほとんど電子トレーディングシステムを使って、次のような感じで取引が行われます。